不動産相続の売却で譲渡所得はどうなる?税金の基本と特例を分かりやすく解説の画像

不動産相続の売却で譲渡所得はどうなる?税金の基本と特例を分かりやすく解説

親から受け継いだ不動産や、長く放置している空き家を売却したいと思っても、譲渡所得や相続に関する税金が複雑で、一歩を踏み出せない方は少なくありません。
特に、相続税と売却時の税金との違いや、二重に税金がかかるのではないかという不安を抱えたまま手続きを進めるのは大きなリスクにつながります。
そこで本記事では、相続した不動産を売却する際に関係する主な税金の仕組みや、譲渡所得の計算方法、活用しやすい特例までを、できるだけ分かりやすく整理して解説します。
さらに、共有名義や遠方の空き家など、特殊な事情があるケースで損をしないための実務ポイントもお伝えします。
相続不動産の売却を検討している方が、安心して次の一歩を踏み出すための基礎知識として、ぜひ最後までご覧ください。


相続不動産を売却するときの税金の基本

相続した不動産を売却すると、譲渡所得に対する所得税と復興特別所得税、さらに住民税がかかる可能性があります。
これらは土地や建物を売ったときの譲渡所得として、給与などとは分けて計算する仕組みです。
課税の対象になるのは「売却益」であり、売却価格から取得費や譲渡費用などを差し引いた後の利益部分が基本となります。
また、令和6年分以降も、譲渡所得には地方税である住民税が併せて課税されることが案内されています。

ここで注意したいのは、相続税と不動産売却時の譲渡所得にかかる所得税・住民税は、そもそもの性質が異なる税金だという点です。
相続税は、被相続人から受け継いだ財産そのものの価額に対して課される税金であり、相続開始時点の財産の時価を基準に計算されます。
一方、譲渡所得に対する税金は、その不動産を譲渡したときに生じた利益に対して課されるもので、相続前からの含み益も含めて売却時にまとめて課税する仕組みです。
このように課税対象と計算の考え方が異なるため、一般的には「同じものに二重に税金がかかっている」という扱いにはなりません。

さらに、相続した不動産の使われ方によって、適用される税率や特例の有無が変わる点も重要です。
自身や家族が居住していた自宅として利用されていた不動産であれば、一定の要件を満たすことで居住用財産の特例などの対象になり得ます。
空き家として長期間誰も住んでいない場合には、相続空き家に関する特例の有無や管理状況が検討ポイントになります。
また、賃貸用として貸していた物件では、家賃収入に対する所得税の問題に加え、貸家であることを前提とした譲渡費用や特例の取り扱いが変わることがあり、用途ごとに整理して考えることが大切です。

区分 主な対象となる税金 税金の考え方のポイント
相続時 相続税 相続開始時点の遺産評価額が基準
売却時 所得税・復興特別所得税 譲渡益に対して分離課税で計算
売却時 住民税 譲渡所得を基に地方税が課税
物件の用途 各種特例・控除 居住用・空き家・賃貸用で取扱い差

譲渡所得の計算方法と「所有期間5年」の壁

譲渡所得は、基本的に「譲渡価額-取得費-譲渡費用-各種特別控除」で計算します。
譲渡価額とは実際の売却価格のことで、取得費には購入代金や購入時の仲介手数料、登記費用などが含まれます。
譲渡費用は売却時に支払う仲介手数料や測量費などが代表例です。
ここから、居住用財産の特別控除など要件を満たす各種特別控除を差し引いた残りが、課税の対象となる譲渡所得になります。

相続によって取得した不動産の場合、取得費と取得の時期は被相続人から引き継ぐのが原則です。
国税庁は、被相続人が買い入れたときの購入代金や購入手数料などを基に取得費を計算し、相続時に支払った登記費用や不動産取得税も、業務に使われていない土地建物であれば取得費に含められると定めています。
一方で、売買契約書などが残っておらず取得費が分からない場合には、譲渡価額の一定割合を取得費とする概算取得費の方法が認められています。
このように、手元の資料の有無によって、どの取得費の考え方が適切かを検討することが大切です。

譲渡所得にかかる税率は、所有期間が5年を超えるかどうかで大きく変わり、これがいわゆる「所有期間5年」の壁と呼ばれています。
所有期間の判定は、譲渡した年の1月1日現在で5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以下であれば短期譲渡所得として扱われ、長期はおおむね約20%、短期は約40%と、短期の方が高い税率が適用されます。
相続不動産の場合は、被相続人が取得した日からの期間を引き継ぐため、相続直後の売却であっても、被相続人の所有期間が長ければ長期譲渡所得として扱われる点が重要です。
所有期間の起算点を誤ると税額の試算が大きく変わるため、国税庁の資料などで確認しながら慎重に判断する必要があります。

区分 所有期間の判定基準 税率のおおまかな違い
短期譲渡所得 譲渡年1月1日現在で5年以下 所得税等合計で約40%
長期譲渡所得 譲渡年1月1日現在で5年超 所得税等合計で約20%
相続不動産 被相続人の取得日から通算 所有期間次第で区分決定

相続・空き家の売却で使える主な特例と要件

相続した自宅や空き家を売却する場合、譲渡所得を大きく減らせる特例がいくつか用意されています。
代表的なものとして、居住用財産の譲渡に適用できる3,000万円特別控除や、被相続人の居住用財産を売却した場合の特別控除などがあります。
令和6年以降は、相続人が複数いる場合の控除額の配分や上限が見直されているため、最新の制度内容を把握したうえで検討することが大切です。
まずは、どの特例が自分の不動産に当てはまる可能性があるのか、全体像を押さえておきましょう。

次に重要となるのが、相続税の取得費加算の特例です。
これは、相続や遺贈で取得した財産を、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合、納めた相続税の一部を取得費に加算できる制度です。
取得費が増えることで譲渡所得が少なくなり、その結果として所得税と住民税の負担を抑える効果が期待できます。
適用期限を過ぎると利用できないため、売却時期の計画を立てるうえで必ず意識しておきたいポイントです。

これらの特例を利用するには、いくつかの共通する要件があります。
例えば、3,000万円特別控除では、その不動産が居住用財産であること、過去に同じ特例を一定期間内に利用していないこと、譲渡した年分の確定申告で所定の手続きを行うことなどが求められます。
被相続人居住用財産の特例では、相続開始から一定期間内に家屋または敷地を売却することや、相続開始直前に被相続人が居住していたことなど、より細かな条件が定められています。
登記事項証明書や戸籍の附票、相続税の申告書控えなど、証明資料の準備も欠かせません。

特例の名称 主な内容 主な要件
居住用財産3,000万円特別控除 マイホーム売却益の最大3,000万円控除 居住用要件・確定申告
被相続人居住用財産の特別控除 相続空き家等の譲渡所得を大幅軽減 相続開始後一定期間内の売却
相続税の取得費加算の特例 納付済相続税の一部を取得費に加算 申告期限後3年以内の譲渡

特殊事情のある不動産売却で損しないための実務ポイント

まず、共有名義や遠方の空き家、賃貸中物件などの不動産を売却する場合は、税金と手続きの両面で共通する注意点を押さえておくことが大切です。
共有名義の場合、持分ごとに譲渡所得を計算し、それぞれが確定申告を行う必要があり、国税庁が示す譲渡所得の計算方法に従って処理します。
また、賃貸中の建物は減価償却費の計算が関係し、所有期間の区分や必要経費への算入方法で税額が変わる可能性があります。
さらに、遠方の空き家では維持管理費や処分費用がかさみやすく、売却前にどこまでを譲渡費用として計上できるか整理しておくことが重要です。

次に、譲渡所得の税金を抑えるためには、取得費と譲渡費用に含められる項目を丁寧に確認することが欠かせません。
国税庁の「土地や建物を売ったとき」の案内では、購入時の代金のほか、仲介手数料や登記費用、測量費、建物の解体費用など、一定の費用が取得費や譲渡費用として認められることが示されています。
また、取得費が分からない場合には、譲渡収入金額の一定割合を概算取得費として用いる方法も用意されていますが、実額の方が有利になることも多いため、契約書や領収書をできる限り集めておくことが望ましいです。
このように、売却前から関係書類を整理しておくことで、結果として課税される譲渡所得を抑えられる可能性があります。

さらに、相続不動産を売却した場合、多くのケースで確定申告が必要になる点も見落とせません。
国税庁の手引きでは、土地や建物を売却して譲渡所得が生じた場合には、原則として翌年に確定申告を行うことが示されており、特例の適用を受けるためにも申告が前提となります。
そのため、売却前には、相続開始からの経過期間や利用状況を踏まえ、どの特例が使える可能性があるかを整理したうえで、税務署や税理士など専門家へ早めに相談することが重要です。
売却後も、申告書類の作成に必要な契約書や精算書、固定資産税納付書などをまとめておくことで、期限内に適切な申告を行いやすくなります。

場面 主な注意点 準備したい書類
共有名義の売却 持分ごとの譲渡所得計算 各名義人の登記情報
賃貸中物件の売却 減価償却費と必要経費整理 賃貸契約書と帳簿類
遠方の空き家売却 管理費や処分費用の確認 管理委託契約書や領収書
売却後の申告 特例適用と期限管理 売買契約書と精算書

まとめ

相続や空き家など事情のある不動産売却では、譲渡所得税や住民税の仕組みを正しく理解し、特例を最大限活用できるかが手取り額を大きく左右します。
所有期間5年の判定や、取得費・譲渡費用の整理、3,000万円特別控除や取得費加算の特例など、押さえるべきポイントは多く、自己判断だけでは見落としが生じがちです。
当社では、お客様の事情を丁寧にお伺いし、税金面も踏まえた売却プランをご提案しています。
相続不動産の売却で損をしたくない方は、まずはお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら

この記事の執筆者

余田 圭

このブログの担当者 余田 圭

◇ 保有資格
宅地建物取引士

◇ キャリア:20年

三田市を中心に神戸市北区・西宮市北部エリアの不動産売却をサポートいたします!
三田市を中心に神戸市北区・西宮市北部まで対応する当社は、不動産売却・買取に特化した地域密着型の会社です。戸建て・マンション・土地・収益物件など種別を問わず、直接買取によるスピード対応から相場を踏まえた仲介売却まで柔軟にご提案。不動産業界20年以上の経験をもとに、売主様のお気持ちに寄り添った無理のない売却計画をサポートします。初めての方もお気軽にご相談ください。